第1話 どいてよ!カンガルー
『ゲインズボローグリーンズ』1番ホールミドルのティーショット、緊張しながらアドレスに入った。狙い目は右バンカーの左手前フェアウエー。もう一度最後に目視で確認…、おーっ!まさに今打とうと思っているその場所に、なんと野生のカンガルーの親子がいるではないか。どこからともなく出てきて脇目もふらず(?)もくもくと芝草を食べている・・・。
「たぶん大丈夫、きっと当たりはしない、もし当たってもゴロだし・・・」、ぶつぶつ言いながら、再度アドレスをとる。今度は「カンガルー」を目視確認、いつものリズムで・・・ナイスショット!
玉の出だしは心なしか狙い(カンガルー!)よりも左目、やはり本能?がカンガルーを避けているのか。青空に吸い込まれていったボールは緩やかなフェード軌道でフェアウエー右目に落下してコロコロ・・・とカンガルー親子の手前で止まった。
このカンガルー親子、カートで近づいても逃げないどころかお母さんカンガルーは横になってしまった。「危ないでしょ!」と声をかけても知らん振り。相当慣れている。
残り120m、9番アイアインをバッグから引き抜いてボールにアドレス、カンガルー親子はすぐ目の前で一応こちらを見ている。流石にアイアンがボールにヒットして「ビシッ。」という音とともにターフが飛ぶ瞬間だけ(振動だろうか)ビクッとたじろいだ。打った後にアイアンを持って接近してみると、「グルルゥー。」と鳴いて逆に威嚇されてしまった。怒ると結構こわい。
その後のホールもバンカーやグリーン周りなど至るところにカンガルーが出現。勇気を出して「わぁーっ。」と声を出しながらクラブを振り上げてやったらぴょんぴょん飛んで逃げていったが(ほっ)、ぴょんぴょんというよりも「ずわんっ、ずわんっ」という感じでホップするたびに地面が響く。一っ飛びの距離が何メートルもあって近くで見ると意外に迫力がある。飛んでいくカンガルーはまさにカンタスのあのロゴマークと同じだった。
16番、池に沿った右ドッグレッグのミドルでは、ティーグランドのすぐ前に親子3頭が座ってこちらを見ていた。「カキーン!」…、とナイスショットのはずがフェードのかかりすぎ、「あぁーっ、池か!!」 落ちどころが見えないのでいやーな気分。「もー、おまえらなあー・・・ぶつぶつ・・・」とカンガルーにあたる。と、その少々気まずい雰囲気?を察知したのか、カンガルーの親子はむっくり起き上がって道を空けてくれた。

